古屋晋一著書『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』内容と感想

嬉しいHaruharu

古屋一著書『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』

2012年出版には、興味深いことが沢山書かれています。

とても勉強になりました。

今回は、第1章のまとめと感想などを書いてみました。



古屋晋一著書『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』

1995年頃から、ピアニストとそうでない人の決定的な違いは「脳」にあることがわかってきたそうです。

それは、1980年代から90年代に、MRI(磁気共鳴画像法)などの脳の機能を調べる装置・技術が飛躍的に向上したため、実験・研究が行われるようになったためです。

本当に研究により、「脳」の機能について、次々と謎が解明されてくることには驚きですしワクワクします。

この本は2012年に出版され、もうすでに10年が経過しているのですが、古さを感じないのです。

ハーバード大学で行われた実験データなどが示されているのですが、とても興味深い内容で、

この当時にわかっていたことだけであっても十分に楽しめて勉強になりました。

現在においては、もっと詳細なことが解明されていると思うのですが、この本の内容をまず押さえておくと非常に良いと感じました。

今回は、第1章の超絶技巧を可能にする脳についてまとめました。

本当に、初めのことろだけなのですが。


ピアニストの指はなぜあれほど速く動くのか?

ピアニストの指の動きを見ていると本当に同じ人間とは思えません。

本当に神業です。

私は、いつも不思議に思っていました。

ショパンコンクール2021の生配信や動画を観てもただただ驚くばかりで、

ピアニストたちは、40分程度、あれ程の曲を弾き続けて指が疲れないのか?

と不思議に思っていたのです。

しかし、心配はご無用!

そんなピアニストの脳は、実は、

たくさん働かなくても複雑な指の動きができるように、洗練されているのです!

少しの脳神経細胞を使って効率よく指を動かすことができるように脳が変化をしているのです!

私はてっきり、多くの脳神経細胞が活発に動いているのだとばかり思っていました。(^^;

その逆だったとは!!!

そういった脳の進化に感動します。

ピアニストの手指を動かす神経細胞は、

長年(3~4歳の頃から成人するまでの間くらい)によって、

複雑な指の動きを生み出しやすいように「特殊な変化」をとげていたというのです。

特殊な変化とは、どういった変化なのでしょうか?

気になりますよね。

それは、手指を動かす神経細胞を刺激した時に起こる手指の動きにあるのです!!!!

具体的に説明すると、手指を動かす神経細胞を刺激した時に、

◆音楽家でない人は、「ものを掴むような動き」であったのに対し、

◆ピア二ストは、「ピアノを弾く時の指の動きに近い複雑な動き」が起こっていたのです!

また、

動かしにくい左手の指の動きを司る脳部位の体積は、

音楽家でない人よりもピアニストの方が大きいことが解り、

さらに、ピアノを弾き始めた年齢が早い程、この脳部位の体積が大きかった

という研究結果もあるそうです。

別の研究では、

ピアニストは音楽家でない人よりも、小脳の体積が5%ほど多く、それを細胞の数に換算すると、なんと、50億個以上多いことになるそうです!

小脳は、「運動の学習や力やタイミングの調節に関わっている場所」です。

ひろみ

「天才!天才!」と言われる人も、長年の訓練の賜物なのですね!!!!!!

その長年の訓練の結果、神業と思うような超絶技巧のピアニストがようやく誕生すると思うと、

そんなピアニストの方々を心より尊敬してしまうのです。



子どもの頃からの努力は報われる

そして、このような実験データが示されることにより、子どもの頃からの努力は報われるんだなと感じたのです。

子どもの心身の発達は、その段階において、いかに子どもが繰り返し行うことで違ってくるということなのです。

私は、牛田智大さんを例に考えてみた

子どもが好きで夢中になっている時には、脳が進化していく時なのです。

牛田智大さんの小さい頃のことですが、あまりにピアノの練習ばかりしているので(1日5時間ぐらい)、親が心配していたというのです。

普通のお子さんならば、15分とか30分の練習しか無理な時期にです。

牛田さんの集中力に親の方が疲れてしまっていたという事実があります。

ゆい

そういった子どもの行動を止めずに見守っていくのも大変なことですね。



私は、中高年に多い脳血管疾患の予防に努めたい!

話は変わりますが、中高年になって脳梗塞の中でも、小脳の部分に梗塞を起こすと、歩行のバランス能力に支障が出たりします。

私の年齢から考える目標としては、まずは、生活習慣病を発症しないようにして、小脳の働きをいかに維持するのかであると思っています。

そして、小脳だけでなく、脳の機能の維持を図るための努力をしていきたいです!


ピアニストの練習は脳をどう変化させるか

ピアノの練習により、脳が変化するといってもどういう変化があるのか知りたいですよね。

ピアノを始めた年齢による脳の変化に差はあるのか?

「ピアノの練習を始めた時期によって、脳の発達の仕方が異なるのではないか?」という疑問を持ったことはありませんか?

ハーバード大学の研究;子どもの頃にピアノを習わせると脳はどう変化するのか?

6歳のこども31人を対象にテストを行った結果は?

31人を2つのグループに分けて、一方のグループに、15か月の間、ピアノの個人レッスンを毎週30分受けてもらったところ、

レッスンを受けたグループの子どもたちは、手指を動かす脳部位の体積」が大きくなっていることがわかったのです。

そして体積が大きくなった子ほど、指をより早く動かせるようになっていました。

これは、脳の中でも比較的表面の変化なのですが、

脳の奥の方の部位である「白質」の研究がすごい!

もっと奥の方の部位である「白質」といった部位があって、

この「白質」には、脳の神経細胞同士が情報のやりとりをするために必要な、

何百万本の白いケーブルが詰まっており、20歳頃までに少しずつ発達していくのですが、

この鞘(さや)は、11歳までの練習時間に比例して発達していました。

ところが、12歳以降の練習時間とこの鞘の発達度合いとの間にはあまり関係がなかったのです。

11歳というと小学5年生でしょうか。

やはり、早期からピアノを始めないと上達しないのか、、とがっがりした人も多いかもしれませんね。

11歳がタイムリミット?大人になっても脳の神経細胞は増える!

しかし、「大人になってからの練習は無駄ではない」と書かれているのです。

それは大人になっても脳の神経細胞は増えるからです。

ひろみ

練習時間さえたくさん確保すれば、いつからでも上手になるチャンスは残されているそうです!

指が速く動くから良いピアニストとは言えない

そして、古屋さんは「指が速く動くから、良いピアニストである」とは言えないと述べています。

古屋さんは、超絶技巧に関する脳の機能としての実験データを示しながらも、

大人になってからピアノを始める人たちが夢を失わないようにと、

「大人になってからでも脳神経細胞は増える!」と書いてくれています。

ピアノを続けていくことについて応援してくれていることが伝わってくるのです。

ゆい

あらためてこの本を読みまとめていると、

自分はこの先、音楽とどう向きあっていこうかとじっくり考えることができます。

高齢者対象の脳トレピアノ

最近、「脳トレピアノ」というものが流行っています。

近くの文化センターで、高齢者を対象とした「脳トレピアノ」のチラシが目につくようになってきました。

ピアノの経験のない高齢者がピアノを弾くと、脳神経細胞が活発に動くことに着眼したものです。

脳の機能には、まだまだ解明されていないことが多いので諦めず何事も希望を持って継続しくことが大切なのでしょう。



参考までに;小林真人さん(ピアニスト、作曲家、作詞家)について

「指が速く動くから、良いピアニストであるとは言えない」

これは、古屋さんの名言ですが、

ここで、私が実際に、3回程レッスンを受けた小林真人さんについてお話ししたいと思います。

それは、良いピアニストってどんなピアニストなんだろうと思った時に、すぐに思いついたのは、

「何度も聴きたい!音楽の楽しさを伝えてくれるピアニスト!」だったからです。

小林真人さんは、小学3年生のとき、ピアノを始め、 国立音楽大学に入学。

応用演奏科卒業されています。

小林真人さんは、プロとして活躍されているのですが、

ピアノの開始年齢としてはずいぶんと遅い方だと思います。

小林真人さんは、テクニック的には、超絶技巧とまではいっていないと思いますが、心に響く音楽を生み出し続けており、ピアノの表情も豊かです。

生まれ育った山梨の四季折々の風景などからのインスピレーションで色々な曲を生み出しています。

ライブでは、客席からのリクエストに答え、それをメドレーで即興演奏し、常に会場を沸かせています。

私は、小林真人さんのレッスンでは、ピアノのアレンジ方法や弾き方について学んだのですが、

「今自分のできる範囲でどうピアノを弾くのか?」ということに焦点を当てることが大事であることを教えていただきました。

私が弾けていないことを話すと、できていることに目を向けてくださいます。

一音だけでもそれは音楽であるから弾けているというのです。

私よりもはるかに若い先生から教わることの多いこと!多いこと!

今できることを楽しむことが大事であるということを、教えていただけたことに感謝なのです。



まとめと感想

今回、ピアニストの脳の仕組みついて学んだことにより、年齢を問わず、努力することの大切さを痛感しました。

現役ピアニストで100歳を超える人も出てきました。

YouTube上でも80歳以上の方のピアノ演奏の動画も良く見かけるようになりました。

ですから、大人になってからでも練習すればピアノは上達するという古屋さんの言葉を信じていこうと思います。

私も実際にピアノの練習は、やればやったでけの効果を感じているので夢を持って進んでいこうと思います!

Haruharu笑顔

最後までお読みいただきありがとうございました。

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