反田恭平さんは、話題性のある音楽家ですね!
特にショパンコンクール戦略のための肉体改造については、
将来ピアニストを目指したいと思っている子どもたちにも高い関心を集めていたことと思います。そういう私もワクワクしていました。
ある雑誌の中で、ピアノの音色と体格についても質問を投げかけている18歳の方がいらっしゃいました。
私もあらためて、ピアノの音色と体格について知りたいと思い調べていたところ、やはり、古屋晋一著『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』に辿り着きました。
ピアニスト研究の第一人者である古屋晋一さんの著書を読むとすっきりします。
納得できて心もスッキリ!!!
内容を入力してください。
体格が変わると音が変わるって本当ですか?「ピアニストにとって理想の体型ってあるのでしょうか?」
まず、はじめに、上記の質問を18歳の方がされていましたので、その回答から記述していきたいと思います。
先生の回答は?
それに対して、○○先生は、下記のような回答をしています。
ヴァイオリンやチェロなどは子供用のサイズというものが存在し、体格の変化に応じて楽器のサイズを変えていきます。
その点ピアノは、幼児から大人まで、みんながフルサイズのピアノを演奏する楽器です。
言い換えると、どうような年齢でも、どのような体格でも、その時々に応じた音を奏でられる可能性がある楽器、ということではないでしょうか?
「からだがふくよかな方が、良い音が出る」という話も聞いたことがあるかもしれません。
これは、反田恭平さんが、ショパコンの攻略法の一つで、テレビでも相当話題になりましたから、きっと、このことを言っているのでしょうね。
でも私は個人的には「ピアニストは〇〇の体格でなければいけない」ということは決してないと思っています。
どんな体格・体型であっても、多かれ少なかれ、ピアノを弾く上でのメリットとデメリットはあると思います。
大柄の方が腕の重みを乗せやすかったり、小柄で指が細い方が細かい音が弾きやすい、といったメリットや、その逆のデメリットもあるかもしれません。
とはいえそれも一概に言えることではなく、大柄でも細かい音が得意な方もいらっしゃいます。
たとえば、昨年のショパン国際コンクールのファイナリストの方々を拝見すると、様々な体格の方がいらっしゃいますが、それぞれの魅力にあふれた素晴らしい演奏をされていました。
つまり、その人その人が、自分自身の体格をどう使って演奏するかが、重要なのではないでしょうか。
うまくいかない場合、試行錯誤することにより得られる「自分だけのコツ」のような成長もあると思います。
もっと、効率的にそのコツを掴む方法はないものか?自分が出しているピアノの音色の特徴も自分だとわからないのです、、、。
どんな年齢でも、どんな体格でも、等しく楽しむことができる素晴らしい楽器であるピアノを、どうか思い切り楽しんでくださいね!
本当に、ピアノをずっと楽しむことができたら最高だと思います。
○○先生、ありがとうございました。
「体格による音色の違い」についての資料はないのかなぁ?
○○先生の回答には、「体格による音色の違い」については記述されていませんでしたので、
私は、調べてみたいと思い、古屋晋一著「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」をあたらめて読んでみました。
18歳の読者さんは「体型により本当に音に違いがでるのか?」という素朴な疑問を単純に抱いたのでしょうから。
実は、私も気になっていましたでので。(*^-^*)
読者の方の質問から、私も何かデータで示せるものはないかと調べてみようと思ったのです。
勉強するきっかけとなり有難く思っています。
古屋晋一著「ピアニストの脳を科学する」第8章感動を生み出す演奏にあった!
聴き手の心を動かす音楽を奏でるためには、
ピアニストは「音や音楽の表情を多彩に変化させる身体運動機能」が不可欠です。
引用:古屋晋一著「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」
この「身体運動機能」という箇所がすごく気になりますよね。
ピアノの音色は鍵盤のタッチで変わる!
ピアノの音色が鍵盤のタッチで変わることは、今では当たり前に知られていることなのですが、
昔は、鍵盤のタッチで音色は変えることができないと主張する人たち(音響学者、心理学者)がいて議論されていたのです。
ピアノで音色を変えるには、
「ハンマーと弦が衝突するスピードを変えず」に「それ以外の何かを変える必要」がある。
しかし、
「そのような要因はなさそう」という理由で、「ピアノで音色を変えることはできない!」
と考えられてきたのです。
「そのような要因はなさそうだ」という曖昧な理由で否定されてきたのには驚きました。
そして、20世紀の後半になり、ピアノのハンマーの動きが詳細に調査されるようになり、
解明されてきたのです。
なんだか、ワクワクしてきました。!(^^)!
音色の違いは、「鍵盤の加速のしかた」にある!
え??? チンプンカンプンですよね。(^^;
打鍵のスピードが同じで音量が同じでも、
鍵盤の加速のしかたによって、ハンマーのしなり方が変わるので、
ピアノの弦とハンマーが違った当たり方をする可能性がでできたのです。
「鍵盤の加速のしかた」をどうやって変えるのか?
千葉工業大学の鈴木教授は、下記の実験をしたのですよ!
「腕全体の筋肉に力を入れて硬く打鍵した場合」と、
「腕全体の筋肉を弛めてやわらかく打鍵した場合」とで、
ピアノの音色がどう変わるかを調べました。
その結果は?
◆筋肉に力を入れて硬く打鍵する場合は、鍵盤は初めに急加速し、その後減衰していく。
◆筋肉を弛めやわらかく打鍵する場合は、鍵盤は初めはゆっくり、その後急加速していく。
※上記からもわかりますが、鍵盤の加速のしかたが逆になるのです!!!
鍵盤の加速の仕方が逆であるということは、
すなわち
この2つのタッチの違いによるハンマーのしなり方は違うはずと考えたのです。
そして、次にさらなる実験を行いました。
それは、下記のとおりです。
鍵盤の加速の違いによる音色の違いについて、周波数分析による倍音の特徴を調べた!
その結果は?
比較的高い音の場合、音量が同じでも、
硬く打鍵するタッチ・・・・・高い周波数の倍音が大きい!
※こうした音色の違いは、人間の耳で聴き分けられる範囲であることもわかりました。
この実験結果から、私が理解したことをまとめます。
①ピアニストの筋肉量が多ければ、同じ力で打鍵してもその高い周波数の倍音は大きくなる。
②高音域で強い打鍵をすると高音域での倍音が大きくなるため、よく響いてキラキラする音になる。
③タッチの種類は、無限大であるため、倍音の量をコントロールしてピアノの音色を自由自在に変えることが可能である。
④タッチは、人それぞれの個性があるので、ピアニストによる音色の違いを楽しむことができる。
ピアノのタッチの種類は無限大!
ピアノの鍵盤への触れ方は、およそ無限大に存在します。
① 指先のどの部分で鍵盤を押さえるか
② 指をどのように動かすか
③ 指や手をどの程度の硬さにするかを変えることによって、
多種多様な触れ方をすることができます。
私は上記の ③「指や手をどの程度の硬さにするかを変える」という箇所から、
どの程度の硬さにするかを決める要因の一つが、筋肉の量である!!!!と気づきました。
そして、反田さんの肉体改造についての科学的根拠を感じたのです!!!!!
ピアノのタッチノイズ(鍵盤を打鍵する時に生じる雑音)も音色に関係する!
前の項目で、ピアノのタッチは無限大であると記述したのですが、
その無限大にあるタッチの仕方を、大きく2種類に分けるとすれば、
「叩くタッチ」と「抑えるタッチ」です。
叩くタッチでは、鍵盤の表面を「バン!」という雑音が鳴り、その直後に、ピアノの音がなるので、タッチノイズの音とピアノの音が混ざって聞こえます。
この鍵盤を叩く時に生じる「タッチノイズ」が混ざると、「ピアノの音は硬く聞こえる」のです。
それだけでなく、鍵盤が底に衝突した時に生じる雑音も、ピアノの音色に影響を及ぼすことがわかっています。
反田恭平さんは音色の使い分けがスゴイ!うっとり~🎵~
反田さんに備わっている能力は?
①音色を聞きわける非常に良い耳が備わっていて、
②自由にピアノの音色を作り出すことができるため、
自分の体格の少しの変化による音色の違いがわかるのですね、きっと。
上記の①②の能力がなければ、体格を変えても、弾き方が安定してなかったり、音色の変化がわからなかったりすると思います。
ですので、反田さんが取り組んだようなことは、普通の人ではできないスゴ技ということになるのでしょうね。(^_-)-☆
反田さんが取り組んだこととは?
それは、ショパンの音楽を表現するための体格の追求です!
ショパンの音楽に似合う「まろやかな音色」を探し求めていました。
筋肉質になったら音が硬くなったので、筋肉の一部を少しずつ脂肪に変えていったのです。
反田さんの演奏を聴くと、本当に音色がまろやかなんです。
そして、弱音の美しさは格別です。
あれだけ色々な音色の弾き分けをどうやって実現させたのだろうかと思います。
音色の微妙な変化にうっとりしてしまいます!!!!!!
ピアニストが備えているスキルとは?
ピアニストは、非常に繊細な力の調整をするスキルを備えていると同時に、
fffからpppまでの広いダイナミック・レンジを表現できるだけの、
大きな力を増減できるスキルの両方を備えている。
引用:古屋晋一著「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」
※ダイナミック・レンジとは?
録音・再生が可能な最強音と最弱音との間の範囲; デシベルで表わす
(研究社 英和コンピューター用語辞典)
本当にピアニストの方々のスキルには脱帽ですね。(^_-)-☆
肉体改造の視点はどの年代にも必要だと実感!
肉体改造という表現が良いのかわかりませんが、
ステージでの演奏を続けていけるだけの体力、筋力の維持、そして、できれば向上させていきたいものですね。
また、腱鞘炎などの指、手首、肘などのトラブルを予防していくことも大事であると最近特に感じるようになりました。
人生100年以上120年の時代になってきましたよ!
ですから、今後は、今以上に音楽家の心身のトレーニングなどに関心が高まるのではないかと思っています。
反田恭平さんの肉体改造で私が心配していることは?ファンの声です!
話は変わりますが、反田さんは、20㎏体重が増加したと言っていました。
20歳の時の体重から、20㎏以上の体重増加は健康上の観点からすると、とっても心配です。
生活習慣病のリスクが高まるからです。
反田さんは、今のところやせることを考えていないそうなので、そのことの方がファンとしては心配なのです!
ファンの方の中には、以前のような体型に戻って欲しいと願っているコメントもみられます。
しかし、音楽第一で体格を考えている反田さんですので、見守っていくしかなさそうです。
健康第一であって欲しいものです。
最後に、今回のテーマを調べた結果の感想
今回、ピアノの音色は体格によってどのような違いが出てくるのかについて調べ、
ピアノのハンマーのしなり方を変える要因について探っていきました。
鍵盤のタッチの仕方による倍音の変化、筋肉の使い方で変化する音色、
ピアノのタッチは無限大であり、表現方法に終わりはない、
そんなピアノの魅力が良くわかりました。
そして、ピアノタッチは無限大であることから、筋肉の使い方や筋肉の量や脂肪の量によっても音色は変化し、その音色の変化をピアニストは聞き取ることができることもわかりました。
ピアニストが生涯かけて、このピアノに向き合っていくのは、そういったピアノの奥深さにあることも知ることができました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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