私が、ジストニアについて初めて知ったのは、図書館で偶然出会った一冊の本、それは、古屋晋一(ふるやしんいち)著『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』からです。日本人のジストニア発症をゼロにしたいという
古屋晋一さんは音楽家にとってなくてはならない存在なのです!
古屋晋一(ふるやしんいち)さんってどんな人?
〔古屋晋一さんのHP参照し抜粋掲載させていただきます。〕
古屋晋一さんは、現在、ソニーコンピューターサイエンス研究所のシニア・リサーチャー(兼:シニア・プログラムマネージャー)として活躍されています。
ご自身の研究遂行能力だけでなく、他のリサーチャーの指導をしながら世界レベルの研究を遂行している方です。とっても素晴らしく魅力溢れる方なのです。
「日本人ピアニストでジストニアに罹る人をゼロにしたい!」という思いから、過去に誰も取り組んでこなかったテーマに取り組み、情熱を注ぎ、人生をかけて研究し続けている人です。
難病ジストニアってどんな病気なの?
ジストニア研究の第一人者である古屋晋一さんのお言葉を拝借したいと思います。
古屋晋一氏が上智大学理工学部情報理工学科の准教授だった頃に、ピアニストの脳神経疾患「局所性ジストニア」の新しい治療法を開発し、2014年に論文を発表されています。
局所性ジストニアは、ある特定の動きをするときにだけみられます。その動きに必要な筋肉が過度に収縮したり、また、自分の意図とは違う別の筋肉が動いたりする病気です。
ピアニストやギタリストなどの弦楽器奏者の指、管楽器奏者の唇、ドラマーの足、歌手の喉など頻回に使い、しかも細かい動きを要求される部位ならば、どこでも発症するのが特徴です。
作曲家のシューマンがこの疾患によってピアニストとしての生活をあきらめたといわれています。
また、音楽家以外にも、例えば美容師や漫画家の手にも起こります。
〔古屋晋一氏 2014年 研究論文より抜粋〕
〔ジストニアによる大脳の変化について〕
局所性ジストニアに罹ったピアニストの脳を見ると、運動野や運動前野、感覚野、深部の大脳基底核といった運動を制御する部位に、解剖学的、あるいは機能的な変化が起こっているそうなのです。
そして、そのために、運動野から筋肉への出力が影響を受けて、動かしたい指が動かない、あるいは動かさなくてもよい指の動きを止められないという症状がでるとのことでした。
〔音楽家のジストニア発症率と発症のリスクについて〕
~ピアニストの場合、以下に該当する人の発症リスクが高いそうです~
①習慣的に4時間以上の練習を続ける人
②演奏法を変えたり、指導者を替えたりした直後
③7~8歳以後にピアノを始めた人
④難しい曲への挑戦を好む人
⑤手指の腱の結合が太い人
⑥家族にも局所性ジストニアの人がいる、など
※即興演奏が許されるジャズピアニストには、ほとんどジストニアを発症する人が見られないこともわかっているとのこと。
※音楽家全体での発症率は、少なくても2%と推定されているそうです。
〔古屋晋一氏 2014年 研究論文より抜粋〕
古屋晋一さんの研究内容は?
ピアノ演奏の巧みさと不自由さを解明し演奏家の創造性の具体化を支援する!
古屋晋一さんは、スポーツの世界では、アスリートが科学技術の支えによって飛躍的に記録を伸ばしているという現状があるならば、音楽の世界においても、科学技術が支えることで未知の領域へと押し上げられるはずという思いがあり、まだ誰も行っていない研究に取り組まれています。
ソニー「テクノロジーが人間の音楽表現を拡張する」YouTube動画
この動画を見ていただくと古屋晋一さんが中心となって取り組んでいる研究が解り、夢が広がってきます。
古屋さんの何とも穏やかで優しい雰囲気、そして研究にかける情熱も素敵ですね!
あくまでも、サポート役であるという謙虚さもいいですね。
そして、「ここにも、反田恭平さんが登場してる!」と驚きました。(*^-^*)
また、何気にこの動画の中で反田さんは、ショパンの「ラルゴ」を演奏をしています。
ショパンの「ラルゴ」はショパンコンクールの第3次予選で弾いた曲でしたね。
この動画の中で、反田さんが手にはめているのは、「データグローブ」というものです。
「データグローブ」を装着してピアノを弾くと、その動きをコンピューターに記憶させて解析できるようになっています。
そして、女性の生徒さんがつけているグローブは、「エクソスケルトン」というもので、反田さんが動かした指の動きをそのまま感じることができます。
先生がデータグローブをつけて、その横で生徒がエクソスケルトンを付けて練習することができるようですね。
すごいですね。!(^^)!
こうして先生の指の動かし方を再現して生徒が学ぶというのは画期的だと思いました。
反田さんからのメッセージは、「古屋さんの言葉を聴くべき!」でしたね。(*^-^*)
古屋さんからは、「どの分野においても、エキスパートになるためには、1万時間のトレーニングが必要と昔から言われていたのが、今では時間ではなく、教師がどのようにガイドするのかが大切であると言われている」と話されていたことがとても心に残りました。
この古屋さんのお話を聞くと、西川悟平さんが、ジストニアを発症して指が動かなくなった時に、「自分が今までピアノの練習に使ってきた3万時間は何だったんだろう」と、アイデンティティを失いかけた時のことが思い出します。
よろしければ、西川悟平さんの記事をご覧くださいませ。
ピアニストの練習量は想像を絶するものがあります。
身体を傷めないピアノの練習方法について研究が進み音楽家を目指す若い人たちの間に浸透していくことを願うばかりです!
私は、ソニーの取り組みを知り、あらためてソニーファンになりました。 (*^-^*)
ソニーの研究を応援していきたいです!
古屋晋一さんの将来の夢は?
研究者・教育者としてピアノを愛する全ての人の創造と継承に貢献できる研究・教育基盤を国内外に確立し、文化が持続的に発展し続けられる世界を創る!
※あと、スクリャービンのピアノコンチェルトを弾くこと!
これは夢に終わらせて欲しくないですね。
古屋さんのスクリャービンをいつか聴けることを願っています。 (*^-^*)
そして、趣味は、 お笑い鑑賞,サッカー観戦,旅行,甘味なのだそうです!
職場の仲間同士がお互い信頼し合って研究を進めている雰囲気が伝わってきました。
そんな古屋晋一さんの経歴を調べてみると、本当に驚くことばかり!
古屋晋一さんの略歴紹介
古屋晋一さんの生まれ
1980年3月 兵庫県生まれ
これからの活躍が楽しみな年齢ですよね。
古屋晋一さんの学歴及び職歴
古屋晋一さんは、大阪大学基礎工学部卒業、大阪大学大学院医学系研究科にて博士号取得(医学)されています。
ミネソタ大学神経科学部にて勤務した後に、ハノーファー音楽演劇大学の音楽生理学・音楽家医学研修所にて、日本人として初めて勤務し、音楽家の脳と身体の研究分野の普及に貢献されています。
工学、医学、音楽という経験値の大きさが、現在の研究を支えているのですね。
古屋晋一さんの演奏歴
古屋晋一さんは、ピアニストとしてもかなりの腕前を持っておられ、コンクール受賞歴もある方です。
主な演奏歴としては、
日本クラシック音楽コンクール全国大会入選
オレゴンにてブロッホ音楽祭出演
エルネスト・ブロッホ音楽祭(Ernest Bloch Music Festival) – 毎年開催される作曲家のシンポジウム・ショーケースで、急進的・現代的な音楽がメイン。ニューポートで開催。エルネスト・ブロッホは、アゲートビーチに住んでいた作曲家で、ニューポートに記念碑がある。全米規模の音楽祭とされ、クラシック音楽やその他の分野で研鑽を積んだ音楽家が集まる。(ウィキペディア引用)
兵庫県立美術館におけるソロリサイタルなどがあります。
本当に素敵ですよね。 (*^-^*)
古屋晋一さんが研究者になった経緯は?
古屋晋一さんご自身も、ピアノの練習により手を傷め、その経験から研究者になられました。
大学生になり、ピアノの練習で手を傷めてしまった私は、ピアノを弾く身体の動きについての興味が加速していきました。
どう身体を使えば、手を傷めず幸せにピアノを弾けるのか。
その問いに答える科学のメスを入れた研究が果たしてあるのか、徹底的に調べました。
その結果、ピアニストの身体の動きについて詳細に調べた研究は国内外を問わず皆無に等しいことを知り、絶望しました。
しかし、誰もやっていないのならば、一からやるしかないと意を決し、大学院から身体や脳の勉強をはじめ、現在まで一貫して、ピアノ演奏の脳と身体の働きについて研究を行っています。
引用;古屋晋一(ふるやしんいち)著『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』
そこには、古屋晋一さんの音楽家への尊敬の念がありました。
音楽家は文化の担い手
音楽家は、作曲家の遺した音楽を現代の世の中に再現できる唯一の存在です。
音楽を奏でられる人がいなければ、いくら素晴らしい音楽の詰まった楽譜があっても、誰も生の音楽を鑑賞することはできません。
音楽家は文化の担い手なのです。
したがって、音楽家の健康な演奏活動を守ることは、ひいては、人類のかけがえのない文化遺産を守ることだと、私は考えています。
音楽家と音楽演奏についての正しい理解が深まり、世の中に素晴らしい音楽がよりいっそう溢れるようにすることが、私の願いです。
引用;古屋晋一(ふるやしんいち)著『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』のあとがきに記載されています。
私は、この古屋さんの言葉に感銘を受けました。
古屋さんにとっての音楽家とは?
そして、古屋さんにとっての音楽家とは、プロ、アマチュアを問わず、
音楽を愛して奏でる全ての人のことだと考えているとも記述されていました。
ここにも、感激したのです!!
そうか、
「私たちが音楽を趣味として楽しむ人がいることも文化遺産を守ることに繋がっていくんだ!」
と嬉しくなったのです。 (*^-^*)
趣味で音楽を学ぶこともとっても人類にとって大切なこと!
そんな視点を持ちこれからも色々と音楽と関わっていきたいな~。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント