坂本龍一さんの死生観とは?還暦まで生きれば十分とも言える?自分の中にも矛盾がある!

坂本龍一さんは、がんという病気になってからは、「本来の生命のあり方」についても考えを深めていました。そのことについてまとめていきたいと思います。



坂本龍一さん:日本には死生観がある?死生観について調べたかった

坂本さんは、この長い歴史の中で人間は、それぞれの国や地域で、それぞれの方法でもって病気の家族を看取ってきたはずであり、そのことについて知りたいと考えていました。

坂本さんは、いろんな意味で真面目に探求心から行動を起こしてしまうたちなのでしょう。

坂本龍一さん:文化人類学者に尋ねてみた

坂本さんとしては、これまで何万年もの間、人間は老化し病気にかかっても、対したこともできずに、看取りをしてきた。

当然、そのような風習が部族ごとに継承されてきたはず。

そういったことを知りたいと思い、文化人類学者の中沢新一さんに尋ねたそうです。

しかしながら、そういった人間の死をめぐる文化人類学的な研究は意外なほど残されていないというのです。

坂本さんは、そのことについて詳しい人がいたら是非教えて欲しいと綴ってみえました。

坂本龍一さん:自分で死生観に関する資料を集めた

そういったこともあり、坂本さんは、これまで聞きかじってていたチベットの仏教や禅の死生観の断片を集めて自分の死について考えていると語られていました。

何につけても真剣に取り組み追求してしまう坂本さんです。

有名な「死者の書」には死後の世界については書かれているのですが、身近な人を看取るときの文化は記されていないそうです。

坂本さんの家庭だけでなく、おそらく、私たちが生まれ育った家庭には、死生観の蓄積はないことでしょう。

ですので、坂本龍一さんは、あらゆる書物から、過去の事実を探そうとしていたのです。

志賀直哉さんの小説も読んでおられ、その小説には、家族が臨終を迎える時の様子が描かれているそうです。

その他にも、人の死に方について書かれている本について綴ってみえます。

相当、死についての本も読まれたのだなと感じています。



坂本龍一さん:がん発覚から思い続けてきたこととは?

坂本さんは、最初の癌が発覚した頃からずっと思っていることがありました。

それは、人間の寿命と自分の命についてです。

「100年前ならば治療法がなくて、自分はもうとっくに死んでいる」と語ってみえます。

そうですよね。ことに、最近のがん治療の進歩は、かなりの勢いですから。

坂本さんは、よく夏目漱石のことをたとえ話にするそうですが、

夏目漱石は、胃潰瘍をこじらて、49歳に亡くなりました。

夏目漱石は、江戸時代の終わりから大正にかけて生きた文豪ですね。

坂本さんは、その漱石と比べて、自分の命のあり方について考えを深めていきました。

坂本さんが、がんが見つかった2017年は、62歳でした。

この時に仮に自分が死んでいたとしても充分長生きになると綴っています。

ちゃんと還暦も迎えて往生したと周りも納得してくれたと思うと。

還暦とは生命の一つのサイクルを指すからであるというのです。

そういった思いも坂本さんの中にはあったのですね。

また、坂本さんは、下記のように綴ってみえました。

「人間の寿命が80歳や90歳まで伸びたのはせいぜいこの30年から40年くらいのこと。
20万年前とも言われる人類の長い歴史医療などなかった時代のことを考えたら、
果たして無理して最後を延ばすのがよいことがわかりませんよ。」

坂本龍一さんは、辛く苦しい病気の治療を拒否して最小限のケアだけで最期を迎えるという価値観が世の中でもっと許容されてもいいと思うと綴っています。

そういった意味で、スイスやオランダで合法化されている安楽死についても興味があるそうです。

しかし、坂本さんは、そう言いながらも、実際は、放射線治療や外科手術をして更には化学療法まで受けようとしている自分があるわけで、そういった自分に矛盾を感じているのです。

しかし、基本的には、自然に生きて自然に死んでいくというのが動物の本来の生命のあり方だと思っている坂本さん。

人間だけがそこから外れてしまっているそんなに考えていると考えているのです。



坂本龍一さんが「ガンと生きる」という表現をした訳は?

2021年1月の手術の直後に、坂本龍一さんは、「これからは、がんと生きることになります。もう少しだけ音楽を作りたいと思っていますので、皆様に見守っていただけたら幸いです。」というコメントを発表しました。

その時の発表について、坂本さんは、ご自身ががんと闘う」のではなく、「がんと生きる」という表現を選んだことについて、”無理して戦ってもしょうがない”と心のどこかで思っているからかもしれません、、と語られていました。

坂本龍一さんは、がんを発病してからは、自分の死を意識し、いかに生きるのか、最期まで発信活動をされていました。

坂本さんは、音楽だけでなく、自分の人生についても書籍に残してくださっています。

ですので、坂本さん残してくださった作品たちをゆっくり味わっていきたいなと思っています。

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